外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせる

公開日: 2020年6月23日火曜日

子どもが既習表現と単元の主表現を用いて,おおよその流れを考えていきました。



5年生では,クラス替えもあり,外国語科の学びの中でも「お互いに紹介し合うこと」をとっても楽しみにしています。

現在進めている学習では,子どもがリポーターのような立場になり,新しく出会った友だちに質問しながら,その人のことを引き出すショートビデオを作成します。

作成したビデオは,友だち同士,そして,担任の先生たちに見てもらい,さらに友だちのことを知れるようにしよう,と話し合っています。
「もっと仲よくなれるように」「こんな人だったんだ!と見ている人にも伝わるように」
子どもたちなりの,コミュニケーションの目的にあたるビジョンが具体的に語られるようになっています。

そんな今日の授業で,
C1「ねえ,やっぱり,最初は挨拶だよね。挨拶がないと何か,感じ悪いよね!」

C2「Hi!じゃない?」

C3「Hello!でもよくない?」

C1「いやいや,Hi!でしょ!なんか,Hi!の方が,親しそうじゃん!」

C3「でも,新しい友だちとのやりとりだよね。急に,Hi!って大丈夫なのかな?」

C2「Hello!だと,ただの「こんにちは」の挨拶って感じで,なんか,なんか,仲よくなれる?」

C4「いやいや,みんな,新しく会った人に,なれなれしいっていうか,Hi!とか,Hello!も分かるけど,Excuse me!ってあったよね?それがいいんじゃない?なんか,振り向いてもらうって感じ,分かる?」

ALT「...but you guys are classmates!」

C「ねえ。ぼくたち,初めての,本当に初対面の人ってわけじゃないよね。」

C4「たしかに...


子どもたちは,"Hi!" "Hello!" "Excuse me."という,目の前の相手に呼びかけたり挨拶したりする表現に立ち止まり,相手と自分との関係性の中で,適切な言語表現があるのではないかと考えながら話をしているようでした。

途中でALTからも, "Hi! and Hello, both are fine."という言葉もあったのですが,子どもたちは,「いや,やっぱり,両方同じってことはないと思うんだよね。Hi!の方がいいんじゃない?」と,まだまだ考え続けていました。

子どもたちは,日本語という言語をバックグラウンドにもっており,さらに,日本での生活習慣や人とのかかわり方という無意識的な文化的背景をもっていると考えられます。

初対面の人とのかかわりでは,丁寧に,礼儀正しく挨拶をしたい,そんなこどもなりの思いは,これまでの英語表現の知識や,自分自身のコミュニケーションの経験をもとに,生まれるものだと考えます。

つまり,Hi!やHello!などの言語表現を,人と人との関係性の中で使い分けるべきものだとして捉えている姿だと言えます。
また,ALTが 「どちらでもいいんだよ」と伝えたにもかかわらず,それでも「うーん」と考え続けている。先生の言っていることだけでは,なんだか腑に落ちない,そんなもやもや感は,子どもたちははっきり自覚はしていなかったけれど,背景にある文化によるものと考えられる。

さらに,それをどのように使っていくか,という点では,目的,場面,状況に応じて,言葉を選択したり,整理したりして,改めて構築し直していく考え方が働いていると考えます。


ショートビデオのはじめのはじめ。挨拶の1つではありますが,子どもたちは,目的意識をもって言語表現を考え,コミュニケーションを構想していくとき,外国語によるコミュニケーションの見方・考え方を働かせていくのだなあということを,わくわく感じながら,いっしょに悩んだ時間だったのでした。


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TAKATA, Misato

tmisato@educ.kumamoto-u.ac.jp

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2 件のコメント :

  1. 「「やあ」「よう」「やっほー」日本語でも似たような意味があるよね?」、でも児童は納得いかないですかね?

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    1. Barbeapapaさん,コメント,ありがとうございました!気付くのが遅くなってしまい,申し訳ありません。本当に,書いてくださったように,日本語にもいくつもの表現がありますよね!そういう言語間の比較も合わせていくこと,とっても大切だし,子どもたちも楽しんで考えると思います!

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