研究発表会の授業を振り返って(今回は6年生Unit 8を中心に)

公開日: 2020年2月22日土曜日

 先日の公開授業について,改めて考えた部分や参会くださった方からの質問,同僚とリフレクションをして整理したいと思った部分を,書き出してみたいと思います。


 3年生の授業では,子どもたちがなんとか留学生に熊本の魅力を知ってほしいと考え,伝え方や表現(英語や身体表現も含め)を工夫して試行錯誤する姿を目の当たりにしました。前時に,「先生,留学生に加藤清正をイメージしてもらいたくて,剣みたいなの作ってみたよ!」と画用紙を組み合わせて作成したものを見せてくれる様子もあり,授業を学びのスタートにしながら,子どもたちが休み時間や家庭でも交流を楽しみにしていたことを感じました。
 本時では,"What's this?" "It's --."という英語表現がターゲットになっていましたが,それらの表現を活用しながら「よく伝わったかな?」「ん?うまくやりとりできないぞ」というコミュニケーション上の成就感や困り感を大切に扱いました。 「ついつい"It's "が抜けちゃって,少し丁寧な言い方ができていなかったなあ」という振り返りもあり,授業者として豊富な音声のインプット体験をさらに充実させていく必要性も感じました。
 また,45分の交流体験の中で,英語表現への立ち止まりは充分にできなかった部分もありました。今回は,敢えて実際のやりとりを優先しましたが,子どもたちが,「こんな風に変えてみたら伝わるんじゃない?」と話し合う場面を設定したかったという思いもあります。次時で,そのような場を導入で設定して,公開授業でのことを振り返りながら,相手の反応に応じて,こんな英語を言ってみたら?ここでジェスチャーを付け加えてみる?等,改善点を考えた上で,子ども同士の最後のクイズ大会を行いました。



 6年生の授業では,子どもたちが自分の小学校生活を振り返りながら,My(Our) Best Memoryの思い出ムービーを作成しました。「何度も見返したくなる動画にしたい」「家族や将来の自分に宛てて」というように,子どもたちが自分なりの相手意識や目的意識をもって取り組んでいました。 ご参会くださった皆様からのアンケートの中に,「英語で自分の思い出を表現する必然性については,どのように考えていましたか」というご質問をいただいていました。これについても,様々な単元の実践や教材研究の段階で,考えてきました。お答えとしては2段階あります。1つ目は,子どもたちと「外国語を学ぶよさや価値,おもしろさ」について,1単位時間の振り返りや単元末の振り返りで,長期的スパンで語り合ってきたため,「どうしてこれを,わざわざ英語で?」という思いではなく,「外国語の学習を通して,友だちのことも知れるし,これから英語を使ってやりとりができるようになりたいな。」という思いをじわじわと育ててきたこと。2つ目は,単元のはじめに「このムービー,英語で撮影するじゃない?日本語でいいじゃない?っていう考えもあると思うの。Why in English?」と尋ねると,「小学校の思い出として,外国語も楽しく学んだなあと思ってもらえる」「小学校で外国語の授業がどんな風だったのか,それも思い出になる」このような考えが出されました。子どもたちと一緒に,共通認識をもつ場を設けたことで,子どもたちも英語表現を工夫したり新たに学んだりして撮影する活動への高い意欲が継続したと思います。

 本時を終えて考えている課題としては,グループで活動を進めていったことで,活用していた英語表現の中で,過去形の一般動詞を扱ったものが少ないグループが見られたことがあげられます。教師の見取りと,「〇個くらいの過去を表す表現に挑戦しよう」というような,枠組みの共有をもっと明示するなどの手立てが必要であったと考えました。この点に関しては,次時に,フレーズを種類ごとに3色で分類したものを再度提示し,「3色とも自分たちの表現に入っているか,確認してごらん」と伝えると,「あ,オレンジの種類が少ない」と気付くことができ,表現をいくつか加えて修正する様子が見られました。



 子どもの振り返りには,このような記述がありました。
6年,ゆかさん(仮名)のふりかえり
公開授業の日
「今日は,オリジナル性をたくさん入れた。自分で好きなフレーズを選んで言って,My best memoryに感情を入れた。伝えたいことがしっかり言えて,楽しかった。今まで学んだ単語を振り返ったり,"Hello!"と大きな声で練習できて,これまでで1番のものができた。」

次時の授業で
「今日の最後の撮影では,失敗もあったけど,英語は楽しい!と思った。もっと練習したい。最終回で,完全に納得のいくものはできなかったけど,とっても楽しかった。」


6年,るるさんのふりかえり
公開授業の日
「今日は,自分が言うところと,終わりの所を決めて,全部通してみた。「夜景がきれい!」と言いたかったから,自分たちで考えたり,先生に尋ねたりしながら,"Second memory is (the) school trip. We saw (the) night view. It was beautiful.”という風に決めた。終わりは,初めにみんなで考えたものから考えた。初めはジャンプしてスタートしたので,終わりはしゃがんで画面から消えることにしました!」

次時の授業で
「今日はビデオを撮って,練習した。わたしは,ただ言うだけでなく,自分がどう思ったのかを付け加えたことを意識しながら,動画をつくっていった。まだ改善点があればやっていきたい。」

 ゆかさんも,るるさんも英語の塾にいったり,英会話スクールに通ったりしていない子どもです。そして,どちらの子どもも,本時,本単元の学びに閉じていないことに驚かされました。「もっと練習していきたい」「英語ってたのしい!」「まだ改善点があれば,やっていきたい」このような子どもの学ぶ姿は,外国語の新学習指導要領にある以下の記述に合致します。
「主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度」とは, 単に授業等において積極的に外国語を使ってコミュニケーションを図ろうとす る態度のみならず,学校教育外においても,生涯にわたって継続して外国語習 得に取り組もうとするといった態度を養うことを目標としている。

子どもの言葉で先のような振り返りを読むことができたことは一つの成果であったと考えています。
 さらに,子どもにメタ的に思考をさせすぎることへの注意も,助言者の先生からいただきました。英語表現のインプット量を増やすことや,英語表現を感覚的に子どもが活用していけるような活動について,今後さらに充実させていく必要もあります。
 この辺りのバランスや活動の条件などについて,来年度は整理して行きたいと考えています。


長文,そしてまとまらない文面もあったと思います。
Thank you very much for your reading! Please come and visit our school sometime soon!
またいつかお会いできますことを楽しみにしております!


TAKATA, Misato
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